「夏とつばめとカミヒコーキ」
作者:有魚神弥

DLpixivbooth
※本文テキストや画像素材はDLから

・readme
・シナリオトレーラー
・シナリオ本文(全文版と分割版)
・画像素材(マップやタイトルロゴなど)

 

人数:1人~
時間:1~3時間
推奨技能:茶番力、目星、心理学
備考:暑い夏の日のSAN回復シナリオ

 


◆◇◆ 概要 ◆◇◆
夏の公園で少女の探し物を手伝う、RPメインのまったりシナリオです。
SANチェックが(ほとんど)存在しないので、SAN回復シナリオ的な感じで遊べます。
出目によっては回復しない場合もあります。減りはしない、はず。
雰囲気的にソロが合いそうですが、2人以上でも楽しく遊べます。


◆◇◆ 利用規約 ◆◇◆
シナリオ利用規約に目を通し、理解いただいた上でご使用ください。


◆◇◆ 権利表示 ◆◇◆
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION


◆◇◆ 更新履歴 ◆◇◆
2022.06.01 加筆修正、booth版公開
 共通処理クリティカル時にSANC追加。END4追加。SAN報酬の調整。全体的にテキストの追加と修正。
2021.10.30 権利表示修正。
2021.10.23 利用規約変更。権利表示追加。
2017.08.04 公開

 



以下本文です。

 

 

 

 

 




◆◇◆ 背景 ◆◇◆
夏の暑い日に熱中症で死んでしまった少女を"ゆくべき場所"へ送る話。

とある暑い暑い夏の日に、とある少女が熱中症で死んでしまいました。
成仏できずに困り彷徨っていた少女に、ノーデンス(白いヒゲのおじいちゃん)が加護的な力を付与した紙飛行機を渡しました。
曰く成仏の手助けをする紙飛行機でしたが、少女がそれを飛ばそうとすると突如強い風が吹き、紙飛行機はどこかへ飛んでいってしまいました。
困った少女が紙飛行機を探しているところに、探索者がやってきます。

探索者と話したり遊んだりしているうちに、少女は自分には"ゆくべき場所"があることに気が付くことでしょう。
そして少女がそこへゆくことを決心した時に、再び紙飛行機が現れるのです。

果たして少女は"ゆくべき場所"へと羽ばたくことができるでしょうか。

※注意事項
「千ヶ崎つばめは既に死んでおり、公園にいるのはその幽霊であること」「つばめが成仏を決心するまでは、どれだけ探しても紙飛行機は見つからないこと」「つばめが自分の意志で紙飛行機を飛ばすと成仏すること」がこのシナリオの肝になります。なのでこの点の改変やネタバレをしないようにご注意ください。ネタバレに関する話をする場合は、見たい人だけが見られるような形式で公開してください。

 


◆◇◆ 共通処理 ◆◇◆
一箇所調べる毎に探索者にはシークレットで1d100を振ってもらう。内容はつばめとのPOW対抗。
つばめに勝利すると、つばめが一瞬だけ正しく幽霊として認識される。
具体的には姿が見えなくなったり、声が聞こえなくなったり、触れなくなったり。
完全に認識できない場合や認識が薄らぐ(透けて見える、声が聞こえづらい、触れた感触が無機質)場合など、出目に応じて調節するとよさそう。
探索者がクリティカルの値でつばめに勝利した場合、完全に存在を認識できなくなる。初回だけSANC:0/1。

[POW対抗に探索者が勝利した際の描写例]
▽声が聞こえづらい
「…っ………、……に………」
 つばめの声が不意に遠くなる。
 何かを話している事は分かるのだが、何と言っているのかが聞き取れない。まるで水の中から聞いているかのようだった。
 しかし、それにしては蝉の声がはっきりと聞こえる。
「どうしたの?」
 次いで鮮明な声が聞こえた。
 心配そうにするつばめの様子に変わりはなく、その声も周囲の雑音と同じくらいはっきりと聞こえるようになっていた。
 ほんの一瞬だけの違和感は、暑さがみせた幻だったのだろうか。

▽感触が無機質に感じる
 つばめの肩に触れた時、違和感を覚えた。
 ひどく暑いこの公園の中で、汗で湿る事も体温が上がる事もなく、それどころか人間特有の質感も感じられない。
 ただ、ただどこか無機質に、触れているという感覚だけが伝わってくる。
「どうしたの?」
 心配そうにかけられた声にはっとすると、今度は確かに触れている感触があった。
 汗ばんだ様子もなく、体温も高すぎる事はないが、確かに人間の感触だ。
 ほんの一瞬だけの違和感は、暑さがみせた幻だったのだろうか。

▽01クリティカル
 つばめが何か言いかけて止めた、ように感じた。しかしそれは止めるにはあまりにも不自然な途切れ方で、まるで音声編集でもってぶっつり切り取られたのではと思えるくらいだった。
 さらに何か言い出すと同時に歩き出したつばめの姿がふっと消えた。急に走り出したわけでも、地面にあいた穴へ落ちたわけでも、空に飛び去ったわけでもない。ただ、まるで初めからそこにいなかったかのように消え去っていた。
「ん?どしたの?」
 一瞬の後、声をした方に視線を向ければ、そこには振り返って不思議そうな顔をするつばめの姿があった。さきほどより滑り台に近付いており、振り返るまでは熱された板を見ていたようだ。
 あまりの暑さに、幻でもみていたのだろうか。

▽20に対して16出された時
 ぐらぐらと揺れる視界の中で、ふっとつばめの姿が消えた。しかし彼女の乗っているうさぎの遊具は変わらずにゆらゆらと揺れている。それは彼女が確かにそこにいるにも関わらず、ただ姿だけが見えなくなってしまったようだった。
「どしたの?なんか見つけた?」
 声が聞こえてそちらを見れば、そこにはたしかにつばめの姿があった。変わらずにゆらゆらと遊具を揺らしている。
 あまりの暑さに、幻でもみていたのだろうか。

▽01クリティカル
 つばめの小さな頭を撫でようとした手は、空を切った。するりと、その頭部へと抜けて行ったのだ。そこには一切の感触が無く、ただ公園と同じ熱気があるだけだった。
 よく見ればその頭部は、否、身体はうっすらと空け、向こう側の景色がぼんやりと見えている。
 つばめが何かを言っているように口を動かすが、声は全く聞こえず、ただ蝉の声がうるさかった。
「どうしたの?」
 鮮明に聞こえた声にはっとすると、あなたの手はつばめの頭に乗っており、その姿もはっきりと見ることができた。
 あまりの暑さに、幻でもみていたのだろうか。

(つばめもすり抜けた事に気付いており「ヤバイ」と思ったが、一瞬だけの出来事だったので何事もなかったように振舞った。まだ誤魔化せる。いける。)

 


◆◇◆ NPC ◆◇◆
名前:千ヶ崎つばめ(ちがさき つばめ)
STR8 CON16 POW12 DEX16 APP13 SIZ8 INT10 EDU5
HP12 MP12 幸運60 IDA50 知識25 DB-1d4
回避52 投擲50 隠れる50 追跡50 登攀50 目星50 跳躍50 水泳40

[基本]
11歳、小学6年生の少女。誕生日は9月20日。身長136cm。

ぱっちりとした吊り目がちなブラウンの瞳。
ふわっとした黒髪を肩に付かないくらいのボブカットにしている。
ノンスリーブの白いワンピースと、淡いピンク色の花飾りが付いたサンダルを身に着けている。
肌の色が肩と肩口から除く部分で少し違うため、ほんのり日焼けしていることがうかがえる。

元気で素直で活動的な少女。
難しく事を考えるのは得意ではない。嘘や隠し事も苦手。
季節の中では夏が一番好きで、毎年虫取りや川遊び、プールや海、キャンプなどで遊んでいた。


[幽霊]
数週間ほど前に、出かけるためにバスを待っていたら熱中症になり死んでしまった。
自分の死を自覚しており成仏しようともしたが、自分だけでなく親や友人からの未練も強かったため上手くできなかった。
それでどうしようか悩んで、数週間の間思い出の場所を渡り歩き、少し前にこの公園に辿り着いた。
そこでぼーっとしていたら"白いヒゲのおじいちゃん"に成仏を手助けするカミヒコーキを貰った。
少し考えた後に飛ばそうとしたら風が吹いてカミヒコーキがどこかへ飛んでいってしまったので探していた。

自分が死んでいる事を理解し、生きている人の世界にいつまでもいるのは間違っていると思っており、死んでしまったことは事故で仕方が無いことだとも分かっている。
しかしもっと遊びたかったとか、話したかったとか、美味しいものを食べたかったとか、寂しいとか悲しいとか、そういった未練の気持ちも残っている。

服装の他にも、顔が赤らんでいたり瞳孔が開いていたりなど、死亡時の姿が少し反映されていたりする。

<目星>や<アイデア>で「この暑さの中で顔も赤いのに、全く汗をかいていないこと」
<生物学>や<医学>で「この眩しさの中で、やけに瞳孔が開いていること」
などに気が付いてもよさそう。

カミヒコーキの加護によってそれを持っている間、あるいはそれが存在している空間内でのみ生者のように振舞うことが出来る。
しかし生体反応はなく、発汗はしないし心臓も止まっている。呼吸は意識をした時や発話する時だけ行われているような反応をする。生きているように見えるだけで生きてはいない。
時々つばめと探索者とでPOW対抗が行われ、つばめが負けると探索者に一瞬だけ正しく幽霊として認識されてしまう。
※詳しくは前述「共通処理」を参照。


[探索者に対して]
幽霊だと知られて怖がらせるのが嫌なので、その辺りの事は隠したり誤魔化したりする。
しかし隠し事をしていることを問い詰められると、観念して話し出す。

つばめにだけ飲食物を渡そうとすると受け取りかけてから「生きている人のものを死んでいる自分が独り占めできない」と思って拒む。
断る時には「今食べちゃうと、お夕飯が食べられなくなっちゃうから」などと誤魔化す。
つばめと一緒に飲食をする場合は少し悩んでから受け取る。一緒ならそれだけでお互い楽しいから。

自身が熱中症で死んでしまったため、探索者の体調をちょっと過剰に心配する。
適宜探索者にCON*5を振ってもらってバテ具合を出してもよさそう。

自販機やコンビニで何か買いに行く事になった場合、つばめは公園内にしか干渉可能の加護がない事に感覚で気付いているため、公園内で待っていることを申し出る。その場合は「ずっと探してたから疲れちゃって」などと誤魔化す。
リクエストを聞かれた場合、ラムネやサイダー、氷系のアイスなど、さっぱりとして甘いものを答えそう。

遊び好きなのでついついカミヒコーキの事を忘れて虫取りや遊具で遊んでしまいがち。そして探索者を誘いがち。

 

[話し方参考]
思い出話をする時には、うっかり過去形で話してしまいがち。「毎年虫取りしてたんだ」「今年も楽しみだったなあ」など。指摘されたら適当に誤魔化す。

・家族構成:父、母、兄。みんな仲が良くてみんな大好き!
・友達:わりと人気者。友達たくさん。よく校庭や公園で遊んでいた。夏はプールに行ったり虫取りしたりした。
・ラムネ:暑い日にいっぱい遊んだ後のラムネが冷たくて美味しくて大好き!
・虫取り:蝉取ったりートンボ取ったりー、カブトムシやクワガタも捕まえたことある!
・公園:この公園にもよく遊びに来ていた。
・プール:近所の市民プールの常連だった。大きいレジャー施設的なプールも行ったことある。流れるプール楽しい!
・川遊び:綺麗な川で水遊びしたり魚手づかみチャレンジしたりバーベキューしたりしたことがある。

・台詞例
「あ、わすれてた!あたし、つばめっていいます!」
「セミとかねー、トンボとかー、ちょうちょとかいっぱい取ったんだ!ご近所じゃ虫取りのプロって言われてたんだから!」
「よく公園とか校庭とかで遊んでたから!この公園も来てたんだ!」
「え、もしかして体弱い?今日とかけっこー暑いけどへーき?」
「たおれてからじゃ遅いよ!無理しないでね?ほら、日影いこ!」
「え、ああ、それは……あたしあんまり汗かかないみたいで!あと暑いのも慣れてるから!」
「ここでもよく遊んでたからね!だれが一番速くのぼれるか競争とかしたんだよー!あたしけっこー速いんだから!」
「あーあ、こんなに探しても見つからないなんてなあ……」
「うん……。あー、あれ、その、帰っても大丈夫だよ?あたし一人でもほら、探せるし……」
「うーんとね、ケツロンから言うと、あたし、……ユーレイなの。……こわがらせちゃわるいかなーって思って、だまってたんだけど……ごめん、ね……?」
「あたしも、みんなといた楽しい記憶、忘れないから……きっと、みんなも同じだよね」

 

◆◇◆ カミヒコーキ ◆◇◆
神が作った魂を守り届ける紙飛行機。
ノーデンス(白いヒゲのおじいちゃん)がつばめに渡したもの。

青みを帯びた黒い機体で、持ち手側が白く、先端のあたりがほんのり朱で染まっている、ツバメをイメージしたカラーリング。
ノーデンス曰く「あらゆる未練を断ち切り、汝をゆくべき場所へ送り届けるためのもの」である。
紙飛行機が断ち切る未練はつばめ本人のものもあるが、つばめに向かって伸びている、親や友人などからの未練が主。
使用者が中途半端な気持ちで飛ばそうとすると風を起こしどこかへ飛んでいってしまい、決意がかたまればまた風に乗って戻ってくる。不思議な力で姿を眩ますため探しても見つからない。見つかるわけがない。
決意のもとで紙飛行機を飛ばすと同時に魂も飛び立つため風が起こる。

"ゆくべき場所へ送り届けるためのもの"なので、つばめが成仏を願えばあの世へ、探索者と共に居たいと願えば探索者の元へ届けてくれる。

 


◆◇◆ 導入 ◆◇◆
 それは暑い暑い夏の日の昼下がりのこと。
 抜けるような晴天から突き刺さるような日差しが降り注ぎ、蒸したコンクリートや青く萌える木々の匂いが熱気と共に漂っている道を、あなたは歩いている。
 蝉の合唱と流れる汗が止まない。どこかへ行く途中だろうか、それともあてのない散歩だろうか。
 何にせよ貼り付くような暑さの中を歩いていると、ふと四方を植え込みで囲まれた公園の前を通りがかった。

<聞き耳>
成功:けたたましい蝉の声に混じって、公園の中から子供と思われる声が聞こえる。
失敗:けたたましい蝉の声に混じって、公園の中からなにか違う音が聞こえる。
(つばめが一人で探し物をしている声)

 一つしかない出入り口から覗けば、公園内の様子が見える。
 そこでは小学校高学年ほどの少女が一人で歩き回っていた。他に人はいないようだ。
 少女は焦ったような、沈んだような表情で公園内をきょろきょろと見回している。どうやら何か探し物をしているらしい。

※少女については前述「NPC」を参照。

 

◆◇◆ 公園 ◆◇◆
 四方を植え込みと樹木に囲まれた、さほど広くはないが小さくもない公園だ。
 じりじりと直射日光に照らされ続ける道路より、木々に囲まれ少し湿った土の地面の公園内は、いくらか過ごしやすいように感じるだろう。
 出入り口は先程入って来た一箇所だけのようで、中には様々な遊具が置かれている。

[公園内]
 公園内には目につく限りで植え込み、ベンチ、滑り台、ブランコ、ジャングルジム、鉄棒、スプリング遊具、水飲み場がある。
 暑いためか他に人の姿はなく、貸切状態のようだ。

他にも面白そうな遊具を増やしたり、イメージしづらいものを減らしたりしてもよさげ。
たまたま他に人がいないだけで普通の公園のため、自販機やコンビニなどに行って戻ってくる事も可能。きっとすぐ近くにある。

一箇所ずつ<目星>で紙飛行機を探せるが、前述の理由でどこを探しても見つからない。

また、それぞれの遊具などで遊ぶととても楽しい。

 

[描写や判定の例]
▽植え込み
 青々と茂った低木と、同じく青い葉をつけた樹木が植わっている。

<目星>
 樹の根本にも枝の間にも葉の隙間にも紙飛行機の姿は見当たらない。

<生物学>、<博物学>
 低木はアオキ、樹はソメイヨシノである事が分かる。

 アオキはガリア科またはアオキ科アオキ属の常緑低木で、日陰でもよく育つため庭園や公園の植え込みとして用いられる。
 開花は3~5月頃で、褐色または緑色で枝先に穂のようにつける。花言葉は初志貫徹、若く美しく、変わらぬ愛。

 ソメイヨシノはバラ科サクラ亜科サクラ属の樹木で、観賞用の桜の代表種である。街路樹、河川敷、公園の植え込みなどに広く用いられる。
 開花は3~4月頃で、花弁は5枚で葉が出る前に花が咲く。花言葉は純潔、優れた美人。


▽虫取り
低木や樹木に対して技能に成功すると虫が見付かる。

<目星>で発見し、1d6で虫を決め、<DEX*5>で捕まえる。
01.アブラゼミ:ジージージー
02.ミンミンゼミ:ミンミンミン
03.クマゼミ:シャンシャンシャン
04.スジグロシロチョウ:黒い筋のついた白い翅
05.キタキチョウ:表に黒い縁取り、裏に黒い黒点のついた黄色い翅
06.シオカラトンボ:青みのあるからだ


▽ベンチ
 木製のベンチ。四人がけほどのものが二つ並んでいる。

<目星>
 ベンチの下にも後ろにも紙飛行機の姿は見当たらない。


▽滑り台
 黄色と緑色の階段と、金属製の平らな滑り板の滑り台だ。
 滑り板は強い日差しを反射してきらきらと光っている。

 近付いたり触ってみたりするなら、滑り板が物凄い温度になっており、遊べそうにないことが分かるだろう。目玉焼きとか焼けそう。

<目星>
 滑り台の下にも階段の上にも滑り板の終点の下にも紙飛行機の姿は見当たらない。


▽ブランコ
 板が二つ並んでぶら下がっているブランコだ。

<目星>
 ブランコの上にも下にも板の上にも紙飛行機の姿は見当たらない。

<キック>、<DEX*5>
成功するとめっちゃこげる。
失敗しても遊べる。
ファンブルしたら落ちる。
クリティカルしたらサーカス。


▽ジャングルジム
 立方体の枠を組み合わせたジャングルジムだ。

<目星>
 ジャングルジムの周りにも内部にも上にも下にも紙飛行機の姿は見当たらない。

<登攀>、<DEX*5>
成功するとすいすい登れる。
失敗しても頑張って登れる。
ファンブルは落ちる。
クリティカルは忍者。


▽鉄棒
 低いものが二つ、高めのものが二つ横に並んでいる鉄棒だ。
 持ち手部分が太陽光を反射し鈍く光っている。

 近付いたり触ってみたりするなら、棒の部分がとても持っていられないくらいの温度になっていることが分かる。焼豚になっちゃう。

<目星>
 鉄棒の周囲には紙飛行機の姿は見当たらない。


▽スプリング遊具
 動物を模した、ハンドル付きの本体の下部に大型のバネがついた遊具だ。
 横に三つ並んでおり、向かって左からパンダ、ウサギ、シマウマのようだ。

<目星>
 遊具の周囲や下、座部に紙飛行機の姿は見当たらない。

子供用の設計のため、SIZ10以上は判定が必要。
<乗馬>、<DEX*5>
成功でみょんみょん。
失敗でみょーんみょーん。
ファンブルで落ちる。
クリティカルでスーパージョッキー。


▽水飲み場(立形水飲水栓)
 コンクリートの台に、上向いた水飲み用の蛇口と、通常の下向きの蛇口が一つずつ付いた水飲み場だ。

<目星>
 水飲み場の周りには紙飛行機の姿は見当たらない。

公園の水飲み場の蛇口はやけに固かったりしてコツが要る。
<DEX*5>
成功で普通に出る。
失敗で勢いよく出る。
ファンブルでスプリンクラー。
クリティカルで芸術的に丁度いい量。

ちなみに真夏の野外なので、出したての水はほぼお湯。しばらく出してると冷たくなってくる。

 


◆◇◆ ED ◆◇◆
公園中を探し回って遊び回って、つばめが「寂しいけど仕方ないか。最期に楽しい思い出もできたし!」と思えたらエンディングに移行できる。
説得は必要なく、ただ一緒に遊ぶだけでつばめにとっては充分な心の整理になる。
寂しい気持ちや未練はまだあるけれど、「それでもいい」と思えたらゴール、END1へ。

「つばめの願いを叶える」「つばめの気持ちを否定しない」「つばめの正体を受け入れる」「つばめと一緒に居たいと伝える」この辺りをクリアしたらつばめが守護霊になるEND2にも行ける。双方が一緒に居たいと思う必要があるので、つばめは勿論、PC/PLにも要確認。

エンディング条件を満たすと、どこからともなく風が吹き、紙飛行機が落ちてくる。
紙飛行機が風に乗って戻ってきたら、つばめはしばらくは本当に無くした紙飛行機かとか、どこか破れたり壊れたりしていないかとかの確認をする。
またここまでに話していない場合は、手伝ってくれたお礼として本当のことを、自分が既に死んでいることを話す。こんな親切な人に嘘や隠し事はしたくないから。

[エンディング前描写例]
「こんなに探したのにないなんて……やっぱり、公園の外に出ちゃったのかな……」
 つばめの表情が不安や焦りからか泣きそうに歪んだ。
 するとふと、その瞳に溜まり始めた涙を拭うかのように強い風が吹き抜けた。
「あ、これ!あたしが探してたカミヒコーキ!」
 つばめの足元には黒っぽい色をした紙飛行機が落ちていた。どうやら今の風に乗って運ばれてきたようだ。
 不安げな表情が一転し、安心したような嬉しそうな笑みを浮かべたつばめは紙飛行機を手に取る。その青みを帯びた黒い機体は、持ち手側が白く、頭のあたりがほんのり朱色で染まっている。
 つばめはしげしげと紙飛行機を見回して、本当に無くしたものか、壊れたりしていないかといったことを確認しているようだ。


[END1]:つばめを見送る
 つばめは太陽のようにきらりと笑うと、紙飛行機を持った手を顔の横に構えた。
「ありがとう!これで、ちゃんとバイバイできるよ!」
 そう言うとつばめは真っ直ぐに青空を見据え、紙飛行機を押し出した。
 黒い機体が宙へ駆け出すと同時にふっと強い風が吹き渡り、一瞬あなたの視界を奪う。
 次に目を開けた時そこにつばめの姿はなく、あるのはただ、暑い公園と、忙しなく騒ぐ蝉の声。そして、飛翔するツバメのように目の眩む日差しと青い空に溶けていく、紙飛行機の姿だけだった。
 高く青い空の下、うだる空気の中を一陣、ラムネのように爽やかな風が吹き抜けていく。
 暑い暑い夏の日の、陽炎のような出会いと別れを経て、あなたはまた、日常へ帰っていくのだろう。

「夏とつばめとカミヒコーキ」END1


[END2]:つばめが守護霊になる
 つばめは太陽のようにきらりと笑うと、紙飛行機を持った手を顔の横に構えた。
「ありがとう!あたし、あなたに会えて本当によかった!」
 そう言うとつばめは真っ直ぐに青空を見据え、あなたに向けて紙飛行機を押し出した。
 黒い機体が宙へ滑り出すと同時にふっと強い風が吹き渡り、一瞬あなたの視界を奪う。
 少しして目を開けると、そこにはつばめが変わらず笑顔で立っており、その手には何かが握られている。見ればツバメのキーホルダーのようだった。
「あなたと一緒にいたい!って思いながら飛ばしたら風が吹いて、紙飛行機がこれに変わったの!」
 そう言って手渡されたキーホルダーを見れば、何の変哲もないが、けれどどこか温かみのある愛らしさを感じるだろう。
「でも、これで一緒にいられるようになったみたい……?」
 つばめ自信も不思議そうにしているが、それよりずっと嬉しそうに笑っている。
 そんな彼女を祝福するかのように、高く青い空の下、うだる空気の中を一陣、ラムネのように爽やかな風が吹き抜けていく。
 暑い暑い夏の日の、焼け付く日差しのように鮮烈な出会いを経て、あなたはまた、日常へ帰っていくのだろう。

「夏とつばめとカミヒコーキ」END2


[END3]:つばめをそのままに公園を去る
 あなたは、どこか寂しそうに笑う少女に見送られて公園を後にする。
 暑い暑い夏の日の、木陰のようなささやかな出会いの後で、あなたはまた、日常へ帰っていくのだろう。

「夏とつばめとカミヒコーキ」END3


[END4]:公園に立ち寄らない
 暑い暑い夏の日の中、あなたは変わらぬ日常を過ごすのだろう。

「夏とつばめとカミヒコーキ」END4

 

◆◇◆ 事後処理 ◆◇◆
[SAN報酬]
▽END1
つばめを見送った:1d2。
つばめと話をした:1d2。
つばめと一緒に遊んだ:1d2。
つばめと一緒におやつを食べた:1d2。(飲み物可)

▽END2
つばめと話をした:1d2。
つばめと一緒に遊んだ:1d2。
つばめと一緒におやつを食べた:1d2。(飲み物可)

▽END3
つばめに出会った:1d2。

▽END4
変わらぬ日常を過ごした:1。


[お土産AF]
・END2の場合
【つばめのキーホルダー】
翼を広げたツバメのキーホルダー。所持していると幸運に+5され、【守護霊:千ヶ崎つばめ】に接触できるようになる。

つばめだけだと力が弱いため、キーホルダーにはその補助の役割がある。
つばめの守護霊としての力(幸運+5)がキーホルダーを通して伝わる仕組み。
キーホルダーを持っていないとつばめへの接触(見る聞く触る)はできず、つばめも所有者にしか干渉できない。遊具などの物品にも触れられないが、つまり壁抜けができるようになっている。一長一短。

 



◆◇◆ 後書 ◆◇◆
閲覧いただきありがとうございます。
今回は思い付いたタイトルからシナリオを組み立ててみました。
一緒に思い付いた情景ややりたい事を詰め合わせたらSANチェック皆無な仕上がりになりました。
描写をどうしたもんかと頭を抱え、実際に夏の昼下がりに公園に行ってぼーっとしたり見回したり水道を捻ったりして考えました。
一回だけテストプレイも回しましたが、END1で帰ってくれました。途中のPOW対抗で1クリを2回も出されたり…うん。
KPもPLもNPCかわいいの気持ちでプレイしてくださるといい感じになるかなと思います。

つばめは真っ直ぐな良い子なので、きっと放っておいても勝手に心を決めて勝手に成仏していく事でしょう。
けれど、それはきっと彼女にとってはとても寂しい、諦めに満ちたものになってしまうと思うのです。
どうか彼女とたくさん話をしてあげてください。たくさん遊んであげてください。
どうか、彼女の最期に笑顔の花を供えてあげてください。
彼女の旅立ち、或いは、新たな始まりが、笑顔に満ちたものになりますように。

▽加筆修正後
改めまして閲覧ありがとうございます。2022年の作者です。
今回は「休息夜想曲~ヒーリング・ノクターン~」という楽しげなお祭りに誘われて加筆修正とか調整とかしてみました。
というわけでSAN回復シナリオなのですが、一切SAN値が減らないというのもなんだかなぁと宗教上の理由から思ったので(?)減る可能性はありつつ大抵の場合は黒字になりそうな感じにしました。
ついでに大体コピペで回せるくらいに描写とかもちゃんとしてみました。使っても使わなくても改変して使っても好きにしてください。つばめの設定周りも補強しましたがこちらも好きにしてください。

にしても、いや、綺麗なシナリオですね。こんなん書けたんですね当時の作者は。読み返してびっくりしました。