「口喧しい賢人の話」
作者:有魚神弥

DLpixivbooth
※本文テキストや画像素材はDLから

・readme
・シナリオトレーラー
・シナリオ本文(全文版と分割版)
・画像素材(マップやタイトルロゴなど)

 

人数:ソロ(~2人)
時間:5分~2時間
推奨技能:英語、図書館、目星
準推奨技能:聞き耳、医学、生物学
発狂:超低確率
ロスト:あり
時間制限:なし
備考:一本道クローズド。短期間の後遺症の可能性あり。

 


CoC「口喧しい賢人の話」トレーラー画像


◆◇◆ 概要 ◆◇◆
見知らぬ部屋で目を覚ますので頑張って帰りましょう。
ソロを推奨しますが二人でも遊べます。
軽い謎解き要素とややショッキングな描写があります。
推奨技能以外でもINTとEDUが高いと安心です。出目に関しては祈りましょう。
マザーグースの詩をギミックとして多用しています。知らなくても大丈夫です。


◆◇◆ 利用規約 ◆◇◆
シナリオ利用規約に目を通し、理解いただいた上でご使用ください。


◆◇◆ 権利表示 ◆◇◆
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION


◆◇◆ 更新履歴 ◆◇◆
2021.10.30 権利表示を修正。
2021.10.23 利用規約変更。権利表示追加。booth版投稿。
 予想時間を「~4時間」から「~2時間」に変更。
2017.03.17 公開、配布開始。

 



以下本文です。

 

 

 

 

 




◆◇◆ 背景 ◆◇◆
毎度恒例ニャル様のお遊び。
マザーグースの詩「ソロモン・グランディ」を知ったニャル様が「これが人間の一生を表したものだというのなら、実際にその通りに体験してもらおう!」と思い立って不思議空間を作り探索者を放り込んだ。
さらに「折角なら脱出ゲームみたいにしよう」と思い、マザーグースの他の詩から引用して脱出のトリガーとなる仕掛けを用意した。

部屋に関してはこんな感じ。
月の部屋:月曜日。産まれたのでベビーベッドの上に寝かされている。
炎の部屋:火曜日。洗礼を受け勉学に励む。
傘の部屋:水曜日。結婚は人生の墓場とかなんとか。
樹の部屋:木曜日。病に罹る。
硬貨の部屋:金曜日。危篤で布団から出られず薬に囲まれる。
無地の部屋:土曜日。死ぬ。
日曜日は朝日の当たる現実世界。埋葬される。

探索者は寝ている間に連れ込まれて脱出と共に現実に帰され目を覚ます。
ロストした場合は自宅付近の公園や山の土中に埋められる。死んで埋葬されました。

部屋の基盤である「ソロモン・グランディ」と共に「ハンプティ・ダンプティ」の詩も読めるのは「死んだら戻れないよ」というヒントでもある。

シナリオ名は
Solomon=賢人
Mrs.Grundy=口やかましい人
という安直で直訳な命名。

 


◆◇◆ 共通処理 ◆◇◆
リアルアイデアの反映はKPのお好みでどうぞ。
ヒントの出し方で難易度調節が出来ると思います。
初心者PLに対しての場合は、例えば部屋の仕掛けのアイデアに成功した時に「これは見立てなのでは?」などとヒントを増やしてもいいと思います。


全ての部屋が小ぢんまりとした正方形で、床は焦げ茶色の板張り。壁や天井は床より薄い茶色をした木材。部屋や扉を壊す事はできない。
全ての部屋が一直線に並んでおり、月と無地の部屋以外は互いに正面になるように扉がある。
扉は次の部屋側へ、向かって右側に開く。少し開いて覗くなら、次の部屋の左側が見えることになる。特に意味はない。

探索者全員が次の部屋へ進むと前の部屋への扉が閉まり、戻る事ができなくなる。
複数の部屋に探索者がいる場合、ドアが開いていても前の部屋に戻ろうとすると見えない壁に阻まれて戻る事ができない。SANC:0/1。
また、重い家具などで栓をしてもドアは難なく閉まる。SANC:0/1。


各部屋にある仕掛けのヒントを見てから、それらが表す詩を知っているかを<知識>で判定し、成功したら限られたヒントの中からその詩を思い起こすことが出来るかを<アイデア>で判定する。
なおマザーグースに関する知識を持っている(本タイトルへの知識成功)場合は<アイデア>だけで振る事が出来る。

仕掛けはその部屋で解かなければいけないというわけではない。例えば月の部屋にあるリジー・ボーデンの仕掛けを持ち出して、炎の部屋以降で解いても脱出出来る。

全ての仕掛けは詩の通りにする事で脱出できるようになっている。
つまり最後の部屋に行っても脱出は出来るが、死んで埋められるので生きては帰れないというだけ。

 


◆◇◆ 導入 ◆◇◆
ふと気が付くと貴方は見知らぬ天井の下で目を覚ました。
どうやらベッドに寝かされているようで、寝起きのせいかどうも頭がぼんやりする。
辺りを見回しても、貴方の記憶の何物とも一致しない部屋があるのみ。
そして貴方の両手に柔らかく乾いた何かが握らされている事にも気が付く事だろう。
SANC:0/1。

月の部屋にあるベッドの上で、二つの人形を手にして目覚める。
服装は普段日中活動する時に着ているもの。持ち物は無し。
ただし眼鏡や義肢、アクセサリーなど着用の範囲っぽいものはあってもいいだろう。

 

◆◇◆ 月の部屋 ◆◇◆
焦げ茶色の板張りの床に、紫色で大きく三日月が描かれている部屋。
部屋の壁際には探索者の寝かされていたベッドが置かれている。
部屋の中央には一つの手斧が置かれている。
身を起こせば目の前の壁に扉が一つあるのが見えるだろう。

目覚めた探索者は<アイデア><知識><知識系技能>の値が半分になる。(端数切捨)
頭がぼんやりする。生まれたばかりだからね。仕方ないね。


[部屋全体]
床も壁も天井も至って普通で特に変わった点はない。
床の絵はペンキか何かで描かれているようだ。特に凝ったデザインというわけでもなく、怪しい点や変わった点はない。


[ベッド]
探索者の体格にぴったり合ったベッド。その縁は木製の低い柵で覆われ、頭側の柵にはモビールが設置されており、さながらベビーベッドのようだ。

配置は、一人の場合は扉に向かって右の壁側。二人の場合はその反対の壁側にもう一つ追加される。


[人形]
探索者の両手に握らされていたもの。
布と綿で出来た手の平サイズの人形。
青い上着とズボンで茶色の短い髪をしたものと、赤いワンピースで茶色の長い髪をしたものとがある。

・青い人形
<目星>
青い人形の背面、頭部と身体の境目に「39」と書かれている。

・赤い人形
<目星>
赤い人形の背面、頭部と身体の境目に「40」と書かれている。

※斧で斬る以外の方法で壊すと数字が消え、ただの人形になってしまい仕掛けに使えなくなる。


[斧]
小さめの手斧。少し古ぼけているようだが頑丈そうだ。
初期技能値:20% ダメージ:1d6+1+db 耐久力:12

<目星>or斧を動かす
斧の下に紙切れが挟まっていた事に気付く。

[紙切れ]
一枚の白い紙切れ。何か書かれているようだ。(探索者の母国語で書かれており、後ろは白紙)
「人は前しか見れない」
=後ろ(過去)は見れない(戻れない)


→人形の回数表示と斧を見てから振れる
<知識>→<アイデア>
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>だけで可)
「リジー・ボーデン斧を取り、
父親40回ぶった斬る。
我に返って目が覚めて、
母親41回ぶった斬る。」
という詩を思い出す。


仕掛け:「Lizzie Borden」
二つの人形を斧で斬ると脱出→GOOD ENDへ。
斬るという宣言で自動成功。技能を振る必要はない。
また、どちらから斬ってもいい。順番は関係ない。
人形は父親と母親を模したもの。ぶった斬れば今日から君もリジー・ボーデン!

 


◆◇◆ 炎の部屋 ◆◇◆
焦げ茶色の板張りの床に、赤色で大きく炎が描かれている。
入って右の壁際に本棚が一つ、反対の壁際に書斎机が一つ置かれている。
月の部屋と通じるものの向かいに扉が一つある。

炎の部屋に入ると<アイデア><知識><知識系技能>の値が元に戻る。


[部屋全体]
床も壁も天井も至って普通で特に変わった点はない。
床の絵はペンキか何かで描かれているようだ。特に凝ったデザインというわけでもなく、怪しい点や変わった点はない。


[本棚]
様々な本が置かれている。
大半が英語の本で、所々にドイツ語やフランス語などの本も混ざっている。日本語のものはない。

<目星>
本と本の間に一枚の紙切れが挟まっている事に気付く。

・紙切れ
一枚の白い紙切れ。何か書かれているようだ。(探索者の母国語で書かれており、後ろは白紙)
「過去には戻れない」
=次の部屋へ進むと前の部屋へ戻る事ができなくなる。


<図書館>
一冊の本が目に止まる。
それは「Mother Goose」と題された文庫本で、どうやら英語の詩集のようだ。

・本の題に対して
<知識>
Mother Goose(マザーグース)とは英米を中心に親しまれている英語の伝承童謡である事を知っていた。
※今後の詩に対する判定を<アイデア>だけで振る事が出来るようになる

・本の内容
ほとんどのページが黒く塗り潰され判読できないが、2ページだけ読む事のできるページがあった。
(黒い部分は判読不可能)

・一つ目
「██████████████,
Born on a Monday,
Christened on Tuesday,
Married on Wednesday,
Took ill on Thursday,
Worse on Friday,
Died on Saturday,
Buried on Sunday.
This is the end
Of ██████████████.」

・二つ目
「█████████████ sat on a wall,
█████████████ had a great fall.
All the king's horses,
And all the king's men,
Couldn't put ██████ together again.」

<英語>
40以上だと振らずに読める。
20以上だと一度の成功で両方読める。
19以下だと両方振らないと読めない。

・一つ目
「■■■■■■■■■■、
月曜日に生まれ、
火曜日に洗礼、
水曜日に結婚、
木曜日に病気、
金曜日に危篤、
土曜日に死んで、
日曜日には墓の中、
これでおしまい
■■■■■■■■■■。」

・二つ目
「■■■■■■■■■■■塀の上、
■■■■■■■■■■■落っこちた。
王様の馬を全部集めても
王様の兵を全部集めても
■■■■■二度と元には戻らない。」

・詩に対して
<知識>→<アイデア>
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>だけで可)
判読不可能の部分がそれぞれ「Solomon Grundy(ソロモン・グランディ)」、「Humpty Dumpty(ハンプティ・ダンプティ)」である事、「Solomon Grundy」は人間の一生を一週間に置き換えたもので「Humpty Dumpty」は卵を答えとしたなぞなぞ歌であるという事が分かる。


[書斎机]
シックで小さめの書斎机。机上には何も置かれていない。引き出しは椅子の右横に三段と椅子上に横長のものが一つある。
椅子には橙色の南瓜が置かれている。

・横長引き出し
新品の大学ノートが一冊入っている。

・一段目
黒のボールペンが一本入っている。

・二段目
あまり厚みのない本が6冊入っている。
一冊ずつ言語が異なるようで、日本語のものはない。
(それぞれ英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の母語話者用教則本)
(英語に失敗した場合や他言語なら持っている場合などの救済措置であり、どれが正解か当てるゲーム性でありなので英語だけにしても大丈夫です)

<英語>など該当言語 40以上だと振らずに読める。
英語(他該当言語)を母語とする人へ向けた英語(他該当言語)の教則本のようだ。

・三段目
ブックスタンドが一つ入っている。本を開いた状態で置いておくためのもののようだ。


[南瓜]
橙色をした一抱えほどの南瓜。
黒い油性ペンで机を向くように顔が描かれており、額には「Peter」と書かれている。
持ってみると見た目のわりに軽く、実が詰まっていないように感じる。
見回しても顔と文字が書かれている以外に不審な点はない。
(すかすかの空っぽと言うわけではないが、愛を知らない分中身が少し足りていない)

※斧で斬ったりボールペンを刺すなどして破損させる、名前を消すなどするとピーターは死に、ただの実の詰まった美味しそうな南瓜になり仕掛けに使えなくなる。重さも見た目に見合うものになる。


→引き出しの中身と南瓜を見てから振れる
<アイデア>/2
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>で可)
「ピーター・ピーター・パンプキン・イーター
女房いたけど逃げられた
カボチャの皮でハロウィンの家
女房うまい事連れ戻す
ピーター・ピーター・パンプキン・イーター
愛人いたけど愛しちゃいない
そこでピーター読み書き習い
愛する事を知ったとさ」
という詩を思い出す。


仕掛け:「Peter, Peter, pumpkin eater」
ボールペン、開いたノート、ブックスタンドに乗せた英語教則本を勉強が出来るように机の上に設置すると脱出→GOOD ENDへ。
ピーターに読み書きの勉強をさせてあげよう。

 


◆◇◆ 傘の部屋 ◆◇◆
焦げ茶色の板張りの床に、水色で大きく傘が描かれている。
入って右の壁側にテーブルが一つ、反対の壁際に茶色く四角い何かが置かれている。
炎の部屋と通じるものの向かいに扉が一つある。

傘の部屋に入ると、一瞬のひやりとした痛みの後に左手薬指の付け根に絆創膏を巻いたかのような痣が浮かび上がる。


[部屋全体]
床も壁も天井も至って普通で特に変わった点はない。
床の絵はペンキか何かで描かれているようだ。特に凝ったデザインというわけでもなく、怪しい点や変わった点はない。

[テーブル]
机上には灰色の十字架が置かれている。
机の下には白い固形物が散らばっている。

・石の十字架
手の平サイズの十字架で、どうやら石でできているようだ。
<目星>
十字架の中心に小さく「I」と彫り込まれている。

・白い固形物
大きさや形はバラバラで指先でつまめるものや手で握れるものなどがある。それより小さいもの、大きいものはない。

<目星>
一つ一つに小さな赤い字で「I」と書かれている。
→<医学>:血液で書かれている事が分かる。

<生物学>
白いものが生物の骨である事が分かる。

<医学>
白いものが人間の骨である事が分かる。

→固形物への目星と医学に成功した
人骨に「I」つまり「私」と書かれている事に不気味さを感じた。
SANC:0/1d3。
(血液で書かれていると分かっているなら+1でSANC:1/1d3+1。)


[茶色の箱]
一抱えほどの大きさで蓋が閉まっている茶色い木製の箱。
中も同じく焦げ茶色。一枚の紙切れが入っている。
(床と同じような色をしている=無地の部屋への伏線)

<聞き耳>
箱の中からなんだか懐かしいような、雨上がりのような、昔育てた朝顔のような…土のようなにおいがする。


・紙切れ
一枚の白い紙切れ。何か書かれているようだ。(探索者の母国語で書かれており、後ろは白紙)
「未来はその手に」
=未来(詩を完成させること)は探索者の手にゆだねられている。


→石の十字架、Iと書かれた白い固形物、茶色の箱を見てから振れる
<知識>→<アイデア>
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>だけで可)
「お母さんが私を殺した。
お父さんが私を食べてる。
兄さん姉さん弟妹テーブルの下で私を拾って、
冷たい石のお墓に埋める。」
という詩を思い出す。


仕掛け:「My mother has killed me」
“私の骨”を土中に見立てた茶色の箱の中に入れ、蓋の上に石の十字架を置き“私の墓”を作ると脱出→GOOD ENDへ。
きょうだいの代わりに埋葬してあげよう。

 


◆◇◆ 樹の部屋 ◆◇◆
焦げ茶色の板張りの床に、緑色で大きく樹が描かれている。
入って右の壁側におもちゃ箱が一つ、反対の壁際に半円のバスケットが一つが置かれている。
傘の部屋と通じるものの向かいに扉が一つある。

樹の部屋に入るとHPが半分になる。(端数切捨)
身体が熱っぽく頭が重くなり、悪い風邪をひいた時のようになる。
何の前触れも無い突然の体調不良に探索者は不安になるだろう。
SANC:0/1。
(気絶判定は無し)


[部屋全体]
床も壁も天井も至って普通で特に変わった点はない。
床の絵はペンキか何かで描かれているようだ。特に凝ったデザインというわけでもなく、怪しい点や変わった点はない。

[おもちゃ箱]
ぬいぐるみや人形、ミニカーやジグソーパズルなど様々なおもちゃが詰め込まれている。

<目星>
どれも新品の、室内で遊べるおもちゃばかりである事に気付く。
底の方に汚れやヒビの入った一箱のトランプケースを見つける。

・トランプ
至って普通のトランプのようだ。よく使われているのか大分柔らかくなり端がほつれたりしている。
<目星>
カードは綺麗に順番に並んでいるようだ。しかしハートのジャックが無く、あるべき場所には一枚の紙切れが挟まっている。

・紙切れ
一枚の白い紙切れ。何か書かれているようだ。(探索者の母国語で書かれており、後ろは白紙)
「運命は決まっている」
=詩の物語がこの空間での全ての運命となっている。


[バスケット]
取っ手の付いた半円のバスケット。中には様々な果物が入っている。

<目星>
バスケットの下にカードが挟まれている事に気付く。

・カード
ハートのジャックのカード。よく使われているのか大分柔らかくなり端がほつれたりしている。
(先にトランプケースのトランプに触っているのなら、それより少し厚いように感じる)

→<目星>or裏を見る
トランプケースに入っていたカードとは裏側の柄が違う。
どうやらジャックのカードの裏に、ぴったりともう一枚カードが張り付いているようだ。
剥すとそれはタルトの絵が書かれたカードであると分かる。


→足りないトランプとタルトを持って隠れたジャックを見てから振れる
<知識>→<アイデア>
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>だけで可)
「ハートのクィーンがタルトをこさえた
ある夏の日に心をこめて
ハートのジャックがタルトを盗んだ
独り占めして逃げ出した
ハートのキングに捕まって
鞭でお尻を百たたき
ハートのジャックはタルトを返した
もうしません と泣き出した」
という詩を思い出す。


仕掛け:「The Queen of Hearts」
タルトとジャックのカードをトランプケースに戻すと脱出→GOOD ENDへ。
仲直りできるように犯人をお家に帰してあげよう。

 


◆◇◆ 硬貨の部屋 ◆◇◆
焦げ茶色の板張りの床に、黄色で大きく硬貨が描かれている。
入って右の壁際に低い棚が一つあり、反対の壁際に布団が一組敷かれている。
樹の部屋と通じるものの向かいに扉が一つある。

硬貨の部屋に入るとHPが1になり、全技能の成功率が半分になる。(端数切捨)
体調不良が悪化し、動くのも呼吸すらもやっとという状態になる。
突然の体調不良が更に突然悪化し、生命の危機すら感じるほどになった事に抱いたものは不安だろうか、恐怖だろうか、絶望だろうか。
SANC:0/1d3。
(気絶判定は無し)


[部屋全体]
床も壁も天井も至って普通で特に変わった点はない。
床の絵はペンキか何かで描かれているようだ。特に凝ったデザインというわけでもなく、怪しい点や変わった点はない。


[棚]
そう大きくない棚。鍵のついた硝子戸がついている。
中には錠剤の入った瓶や点滴のパックなど、医薬品が置かれている。
棚の上には一般的な鶏卵より一回り小さいくらいの大きさの白い楕円の球体が置かれており、時折不安定に揺れたりしている。
(棚は何をしても開かない。壊れない。鍵もない。不思議パワーに護られた棚。)
(医薬品のラインナップは重度の肺炎関係とかまあなんでもいい)


[ベッド]
木製の枠と敷布団と毛布と枕で一組の簡素なベッド。ひどくくたびれている。

<目星>
枠と敷布団の隙間に紙切れが挟まれている事に気付く。

・紙切れ
一枚の白い紙切れ。何か書かれているようだ。(探索者の母国語で書かれており、後ろは白紙)
「流れには逆らえない」
=流れ(詩の物語)には逆らえない。次の部屋行ったら死ぬよ&そこの卵も割れる運命だよ


→棚の上の球体を見てから振れる
<知識>→<アイデア>
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>だけで可)
(ハンプティ・ダンプティの詩を母語で理解した後なら<アイデア>*2)
(ハンプティ・ダンプティの詩の黒く塗られた部分を思い出した後なら自動成功)
「ハンプティ・ダンプティ塀の上、
ハンプティ・ダンプティ落っこちた。
王様の馬を全部集めても
王様の兵を全部集めても
ハンプティ・ダンプティ二度と元には戻らない。」
という詩を思い出す。


仕掛け:「Humpty Dumpty」
棚の上にある楕円の球体を割ると脱出→GOOD ENDへ。
塀の上の卵の運命を全うさせてあげよう。

 


◆◇◆ 無地の部屋 ◆◇◆
焦げ茶色の板張りの床。何も描かれていない。
家具のようなものも見当たらないが、部屋の中央に何か小さなものが置かれているようだ。
扉は硬貨の部屋に通じるものしかないようだ。
(入ったら死亡。見るだけなら可能)

[部屋全体]
<アイデア>
傘の部屋にあった箱も、そういえば床と同じ様な色をしていたと思う。

<聞き耳>
なんだか懐かしいような、雨上がりのような、昔育てた朝顔のような…土のようなにおいがする。


[天井]
上を見上げるとそこに天井はなく、代わりにどこまでも続く星空が広がっていた。
天井へ続くはずの壁は途中から薄れるように消えていっている。
そこにはただ深い深い闇があり、その中には煌々と輝く星々が散らばっている。
全てを吞み込むような闇に、誘うような煌めきに、言い知れぬ不安と恐怖を覚えるだろう。
SANC:0/1d3。


[小さなもの]
それは手の平ほどのサイズの、灰色の十字架だった。

<目星>
十字架は石で出来ているようだ。そして十字架の中心には「You」と彫り込まれている。


→全ての部屋の床の絵と無地の部屋の様子、部屋ごとに自分に起こった異変から振れる
<知識>→<アイデア>
(マザーグースの知識判定を成功している場合は<アイデア>だけで可)
(ソロモン・グランディの詩を母語で理解した後なら<アイデア>*2)
(ソロモン・グランディの詩の黒く塗られた部分を思い出した後なら自動成功)
「ソロモン・グランディ、
月曜日に生まれ、
火曜日に洗礼、
水曜日に結婚、
木曜日に病気、
金曜日に危篤、
土曜日に死んで、
日曜日には墓の中、
これでおしまい
ソロモン・グランディ。」
という詩を思い出す。


仕掛け:「Solomon Grundy」
無地の部屋に入るとロストし脱出→BAD ENDへ。
ヒトの使命たる一週間を全うしよう。

 


◆◇◆ ED ◆◇◆
GOOD END
条件:どれか一つの仕掛けを解く

突然部屋の電気を点けられたかのように貴方の視界は白く染まる。
それは一瞬の事で、そのまま貴方の意識は水にたゆたうように沈んで行った。

ふと気が付くと貴方は見慣れた天井の下で目を覚ました。
どうやらベッドに寝ているようだ。
辺りを見回しても、貴方の記憶の通りの見慣れた部屋があるのみ。
あれは不思議な夢だったのだろうか。
何にせよ貴方はこれから日常の中に戻って行くのだろう。


BURIED END
条件:無地の部屋に入る

何も描かれていない部屋に足を踏み入れた瞬間、重く回らない貴方の頭がついに動く事を止めた。
貴方の意識は深い深い土の中のような闇に溶けていった。

そしてその日の内か、数日後か、或いはうんとずっと後か。
深い深い土の中に埋められた貴方の身体は、誰かの手により再び日の光を浴びるだろう。


RETIRE END
条件:脱出を諦める
※最終手段です。PLにやる気がありながらも詰まってしまったなら、何かしらの方法でヒントを出してあげてください。

「なんだ、諦めちゃうの?つまんないなあ」
そんな声が聞こえたと思った瞬間、貴方の意識は途絶えた。
そしてもう二度と、目覚めることは無いだろう。

貴方の亡骸は貴方の見慣れた貴方の部屋で、睡眠中に突然死した遺体として発見されることだろう。

 

◆◇◆ 事後処理 ◆◇◆
[SAN報酬]
生還:1d6

[後遺症]
脱出してから一週間の間、脱出した時の状態が続き、一週間経った朝にすっかり元に戻る。
例えば月の部屋で脱出した場合は<アイデア><知識><知識系技能>が半減した状態が一週間続き、硬貨の部屋で脱出した場合は一週間の間HP1で瀕死の状態になる。
その状態が続くだけなので後遺症が悪化したりそれによって死ぬ事はない。
ただし死んでしまった場合はハンプティ・ダンプティよろしく元には戻れないので注意。

 


◆◇◆ 引用 ◆◇◆
Mother Goose/Nursery Rhyme
「Solomon Grundy」
「Lizzie Borden took an axe」
「Peter, Peter, pumpkin eater」
「My mother has killed me」
「The Queen of Hearts」
「Humpty Dumpty」